最後の血肉晩餐
 大理石のヒンヤリしたタイルのトイレで用を足しながら、落ち着きを取り戻した。


怒ることなどなにもない。もう終わった話。恵美は俺のすべてを一番知っている親友。それでいいじゃないか。


俺の代わりが賢二? じゃあ賢二の代わりは恵美がしてくれよ。それで俺は寂しくない。


馬鹿みたいな考えに、しんみりとして涙が一粒こぼれた。


「しっかりしろ友介!」


涙を手首で拭い、両手でほっぺたをパチンッと一回叩いて気合を入れた。


ドアを開け、ワインを飲み干してしまったのを思い出した。


「グラスを割ってしまった……素直に謝ろう」
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