最後の血肉晩餐
「あぁ……美味しそうな血ね……客は病み付きになって、人肉とワインを欲しがる――面白いでしょう? 簡単な儲け話よ?」


腕から流れる血を恵美はピチャピチャと舐め始めた。獣のような吐息がかかる。振り払おうと動かすが、チャリチャリと音が鳴るだけで、鎖は重く、云う事を利いてくれない。


「私達これからずっとここで暮すんだから大人しくして。

貴方の血は甘くて美味しいわね――? 暴れるならお仕置きするわよ? ワインの材料にしちゃうからね?」


「うわぁ!! ぐぅ……!!」


腕に歯が食い込む。噛み付かれ、唇がそっと離れた。歯型がくっきりと紫色に浮かび上がっていた。ポタポタと流れていた血が、それだけじゃ物足りなかったかのように、つつっと、赤い線を作り、流れ落ちる。
< 574 / 672 >

この作品をシェア

pagetop