最後の血肉晩餐
「……だから貴方は人の気持ちがわからないって言うのよ。誰しもが友介みたいにストレートではないの。

試す人もいれば、様子を見る人だっている。女心が全くわからないのよ貴方は。そのお蔭で、私はほっと、胸を撫で下ろしたけどね」


実直で何が悪い。この眼で見たモノだけが正しいじゃないか。言葉や態度でちゃんと示さないと、伝わらないものじゃないのか?

自己嫌悪の渦に巻き込まれた。


「あの女も勿論食材。まだ少し冷蔵庫に残っているわ? 貴方にも一切れだけ、プレゼントしたことがあるのよ?

あれも他の女に余所見した、ちょっとしたお返しと愛情よ」


以前、生臭い生肉と愛の告白の手紙が入った封筒が玄関のポストに入っていた。

あれは恵美だったのか――ありえない! ありえない! ありえない!


世の中は眼で見えるものだけが本物じゃないのか! 愛した女が殺人鬼だなんて。俺の眼は何を映し出していたのか。
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