最後の血肉晩餐
恵美はパタパタと扉の向こう側に消えていった。ほっと緊迫の糸が切れ、安堵が広がった。周りを見てもコンクリートの壁しかない。出るにはあの目の前の扉だけ。


改めて銀色に輝く鎖を見るが、やはり太く重く、一筋縄じゃ外せそうもない。なんとか外して貰わないと……。


「お待たせ~一先ずこれ! 傷口の手当てするね!」


消毒液を拭きかけ、そっとガーゼを置き、包帯を巻く。その表情を見ていると、看護師の恵美だった。女は何面の顔を持つんだろうか?


「はい! 出来た。ちょっと待ってね! 簡単な料理作ってくるから!」


「この鎖を外してくれないか? 重たくて、痛いよ」
< 586 / 672 >

この作品をシェア

pagetop