最後の血肉晩餐
 扉から微かに香ばしい匂いが隙間風に乗って運ばれてくる。料理が出来たのだろうか? 肉を焼くだけなら、簡単か……。


カチャリ。心を現すようなあの重い扉が、ゆっくりと開かれる。


恵美は片手にベテランのウエイトレスのように、食欲がそそられる香しいステーキと、クラッカーの上にチーズやキャビアなどが乗っている、一品料理を載せていた。


「おまたせ~! 簡単なものを取りあえず作ってきたわ。足りなかったら言って!

これからはなーんでも言ってね! 貴方の為に美味しい料理をこの先もずっと作っていくわ」


チェストの上に料理を置く恵美の横顔が、幸せそうに微笑んでいるのが憎らしい。動けない苛立ちに、怒りの炎を注いでいるようだ。
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