最後の血肉晩餐
震えてる場合じゃないんだよ。くそっ! なにか手段はないのか!? イライラする!


チェストの引き出し……なにか入っていないだろうか?


時間がない。なんでも試してみるべきだ。チェストの引き出しの取っ手に、足の親指の爪先を思いっきり伸ばし、こちら側に引っ掛ける。


ずるりと親指は滑り落ちるが、ちょっとづつでも、こちらに引き出しが開くのがわかる。何度でも何度でも引っ掛ける。


「くそ! くそ! くそ!」


そうしているうちに、引き出しよりも、ガタガタと揺れるチェストに、上に転がっていたナイフがカランと床に落ちた。


――しめた! しかも足元に! 


足の親指でナイフの柄を少しづつずらし、指と指で挟み込んだ。思いっきり膝を後ろに曲げ、カカトを腕の近くへ持っていく。


腕を関節が痛むまで伸ばし、親指、人差し指、中指をぎりぎりまで広げる。じりじりと筋肉が汗ばむ。


――もうちょいだ!


指一本、一本を伸ばせ! 第一関節、第二間節、伸びろ! 伸びろ!
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