最後の血肉晩餐
 噴出した血に意識がとびそうなのを堪え、手に握り締められた、汗ばむナイフをシスターの太ももにぶっ刺した。


「ぎゃああああああ!!!!」


熱を帯びた、細かい歯先が首からじりじりと外れた。まるで失敗した点滴の針が何本も、何本も抜けたようだった。シスターは一瞬だけ怯み、後ずさりをした。


暖かい血がドクドクと滝のように、肩から腕に伝い、太もも、足首を流れ、つま先には血の塊が出来ていた。


――はははっ。俺の血……冷血じゃなかったんだな――。


シスターは顔や手首についた血を長い舌でべろっと舐めまわしている。


「主よ。貴方はパンを与えてくださる。肉はパン、血はワイン……天からの恵……私の肉。はぁ、はぁ、はぁ……貴方がいてくださる限り、今後飢えることもなく、決して渇くこともありません。

そして貴方の肉や血は、私の命になり、ともに生きる……この魂、心がある限り貴方は私の中で光、輝き続ける――」


ブツブツと呟いたシスターは、ボストンバックをゴソゴソと探っている。


ぐぅっとした痛みに、息遣いが荒くなる。だらしない口元からは、唾液と血が入り混じり、ぼたぼたと血だまりが落ちた。
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