最後の血肉晩餐
「あらら……頚椎に当って、上手く切断できないわぁ~! 昔の人って凄いわね! 首切りを一瞬の内にスパッといけるんですもの。骨と骨の隙間を狙って刀でスパッとね! 一発よ! 流石よねぇ~。私は上手く出来ないわぁ~。

ああ、駄目! 肉も弾力があるし、相当、力がいるわね?」


振り下ろし、突き刺さっている、のこぎりを上下に動かし骨が削られる。


――ぐちゅり、ぐちゅり、ギギギギ……


ギコギコ動かされる凶器に激痛が首中心に集まる。痺れが解け始め、首の痛みは加速する。


麻痺が解ける、肩が、腕が、震える指先に力が舞い戻る。感覚が蘇る度に首の肉が、凶器に犯されているのを確信する。


命の水、真っ赤な血が溢れ出し、清流のように部屋へ流れ、絵の具のようにコンクリートを染める。


麻痺からの解放……それは新たな第二の地獄だった。


「あがががが! ぐえぇっ!」


「ごめんなさいね? スパッと切断出来れば、一瞬の痛みだったのに……恵美さんは病院で見ていたから、やっぱり得意よねぇ~! 私も見習わなくっちゃ! 最初の実験台が友介さんね。でもこれが私には最初で最後になるの。あとは食事係の恵美の仕事だからね」
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