最後の血肉晩餐
 今までの思い出が走馬灯のように蘇る……もう逢えないんだ――本当に死んでしまったんだ。


「泣いてる場合なんてないのよ! 早く解体しちゃって! 腐らす前にね。嫌でしょ? 腐らすなんて以っての外よねぇ? その肉片一つ、一つ、大切に保存し、食すのよ。私達の身体に神秘を宿らせるの。いつでも主を感じられるように。それは心に沁みる暖かい温もり。肉はパン……血はワイン。ありがたく頂くのよ。早くやりなさい!」


――そうだわ……腐らせてこれ以上、醜くするなんていけないわ――こうなってしまったんなら、やるしかない。


「――持ってきて早く道具を」


「道具? 天井に吊るす縄とのこぎりでいいのかしら?」


「のこぎりじゃ時間かかる。電動のやつ持ってきて。それもキッチンにあるから」


憔悴しきっていて、頭の中は解体のことで一杯だった。そしてこれをどう保存させるのか。死体への思考ばかりだった。でもシスターの考えは違った。その言葉で気づいた、ああ、そんな道があったんだなぁ、と。


「恵美さん? 貴方は私の使徒として信じているけども、それを武器と化することはご法度よ?」


――そうか……私はシスターを殺すことも出来るんだった……。


「告解のおかげで手に入れたことを忘れるな」
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