最後の血肉晩餐
 再び、禁断の扉が開かれる。シスターの両手には道具が握り締められていた。


「恵美さん? これでいいかしら? 電動のこぎりと、道具が詰まっていたボストンバックを持ってきたわぁ? そこに縄を入れときました。電動のこぎりのコード、こちらに引っ張って、電源入れますね。後これこれ、喉も渇くでしょう?水でいいかしらぁ? ペットボトルを用意したわぁ?」


「血を入れる、ボトルや空き瓶も持ってきて……扉の外に置いといて」


「わかりましたわぁ! 私は地下室を祭壇にしようと思いますの。 そちらを準備しますわねぇ? 」


シスターは凄く楽しそうだった。開かれる口から覗く牙、一本、一本も笑っているようだ。気持ちが悪い。でも私はこの人の仲間になる事を選んでしまったんだ。


――もう後戻りは出来ない。


大好きな友介の両足首に縄を結びつける。結び目が解けないか軽く引っ張って見る。


――大丈夫。いつも通り頑丈だ。ゴメンネ、友介。


今回は首がない……血も大分抜けている。いつもよりは、軽いはずだ。


天井に取り付けた滑車に引っ掛け、全身全霊を込めて引っ張りあげる。ギシギシと縄の音が撓り、ズルズルと死体が浴槽の上に吊るされる。浴槽に取り付けた頑丈な鉄のフックに、縄を引っ掛ける。両手がブラブラして邪魔そうだ。


――まさか貴方のこんな姿を見ることになるなんて……。
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