最後の血肉晩餐
「恵美さんー? ここに空き瓶置いておくわよ……あらぁ、まるでタロットカードの吊るされた男のようねぇ? イエスキリストが逆さにされたみたい。とっても綺麗ねぇ……ただ、逆さは悪魔のシンボルだから早く済ませてねぇ?」


「わかっているわ。黙っていて。あっちへ行って。」


「はいはい恵美さん、死体を前にすると眼がギラつくのね。とっても怖いわぁ……はいはい、行きます。行きます」


――ブロロロロッ!!!!


電動のこぎりのスイッチが入る。


「やっぱり邪魔な両腕からよね」


――ウィィィィーン!!!!


勢い良く回転する刃先。その振動が両手に伝わり、手の平にジワリと汗が滲み出す。絶対に離してはならないと、再度両手に力を込めた。


――ガガガガガガッ!!!!


肩から一直線に真下へ降ろす。骨は頑丈で奏でる音も力強い。ポタポタと血の雫が浴槽に池を作る。ボトンッと、血の池に腕が落ちた。ボトンッと二本目も浴槽へ落ち、血が飛び跳ね、私の頬に赤い水滴が付いた。


人差し指で拭ってみると、まだ生暖かかった。その指を唇のほうへ運び、しゃぶる。


――ああ、貴方の血は格別に美味しい。
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