最後の血肉晩餐
 片足切断は上手くいったが、両足は縄でくくりつけていたので、宙ぶらりんの変な状態になった。


「案山子を逆さにしたみたいになちゃった……あ、そうだ。これアレに似ている」


秋葉原で行列の出来るお店。ドネルケバブ。焼けた部分から肉をそぎ落とし、野菜と一緒にパンに挟み食べる、サンドイッチに似たような料理だ。


――ケバブのように、肉を削いでみよう……内臓はまだ傷つけては駄目だ。ワインを汚してしまう。


肉が次々と、浴槽にビチャッと落ちる。血の池は、血の海へと変わりつつあった。


――お腹が空いてきた。ケバブかぁ……随分食べてないなぁ。


一つ一つ神経を使い、肉を削ぐので重労働だ。お腹が空くのも無理は無い。こんな状態でお腹が空くなんて、私の精神は壊れている。


扉を開け、トレーに肉の塊を重ねる。そろそろ内臓を取り出したいところだが、血液が汚れるのは勿体無い。折角のワインの材料が台無しになるのはご法度だ。


「シスター! シスターりお! ちょっと来て……防音だから聞こえないのかな? 仕方ないなぁ」


肉を凍らせようとトレーを持ち、血だらけで電動ポンプを探しに向かった。


――シスターお肉を少し食べたのかな……冷蔵庫の肉が減っている。


「全く、そんなにこの肉が好きなら自分で解体すればいいのに」


冷蔵庫の亮と目が合った。イケメンの顔立ちが、過去の嫌な思い出を蘇らせる。


――もうこれは必要がないわね。生首は一つで十分。


凍った亮の生首を取り出し、スーパーの白い袋へ放り投げた。氷の塊みたいだった。手に付いている血で、氷にピタリと指がくっついて、少しだけヒンヤリと痛かった。


口をリボン結びで縛り、その部分を両手で掴んだ。
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