最後の血肉晩餐
 祭壇の赤いベールの上に2枚の写真が置いてあった。


写真にはセピアになっており、古めかしくなっている。そこには3人の人物が写っていた。


肉団子のように太った七三分けの男と対照的にガリガリに痩せた女。


その真ん中にいる、両腕を引っ張られて、立っている女の子。幸せそうな笑顔を浮かべている。


もう一枚は、その女の子が1人だけ写り、擦り切れた洋服を着て、泥まみれで倒れている写真だった。


あちらこちらについている傷が艶かしかった。


「……これってシスター? 家族の写真かなぁ。きっとそうだよね」


幸せそうに口をあけ、笑っている写真は本当に楽しそうだった。やっと立ったところを見ると一歳くらいだろうか。もう一枚の写真は、体の大きさから推測すると、小学生くらいだろうか?


倒れているその顔を見ると、口は大きくなり、歯が何本も生え、牙のように成長しているのが分かる。


「昔何があったんだろう……」


写真は元へ戻し、顔を見上げると視野に壁時計が目に入った。


「あ、もうこんな時間? 妄想しているとすに時間が経っちゃうのよね。お風呂に入って、お化粧してお洒落しなくっちゃ!」
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