最後の血肉晩餐
水戸さんと二人きりで、他の場所で会えるかな? もしそうなったら、久しぶりのデート。なんだか実感が湧かないけど、もう一度だけ、恋愛が出来るのかな……あの頃のように。


「広いね、この別荘! 少し迷子になっちゃったよ。恵美さん、お仕事はなにをやっているの?」


「前は看護師。今は……この別荘は亡くなった祖父から受け継いだだけですよ。料理は折り詰めにします? 1人暮らしなんですか?」


「手間かけちゃうからいいよ。うん、1人暮らしだよ」


ここに一緒に住む? と言いそうになる。駄目だこの人は友介じゃないんだから。


「じゃあ、帰ります。名残惜しいけど。これ俺の連絡先! 絶対電話やメール、頂戴よ!」


「勿論連絡します。私こそ……なんだかこんな気持ちになったのは、久しぶりで本当に嬉しかった。外までお見送りします」


「急にお邪魔しちゃって、ごめんね! 今日はゆっくり休んでください……またすぐに会おうね……会えると思うよ」


「自信たっぷりなのね? じゃあまたね……」


「また!」


車のドアがバタンと閉まり、エンジン音が木々に反響する。車が見えなくなるまで、ずっと見つめていた。


――貴方だけは守りたい。
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