最後の血肉晩餐
「水戸さん。例えば、大好きだった前の彼女が誰かに取られそうで、それだけは譲れない。絶対に奪え返す。そんな感情はない?」


「……生憎、俺は一度別れた女には興味はない。勿論、別れた女が何をしようと関係ない。悪いな」


「あっさりしているね。私もそう思えたら、どんなに楽だったか……でもね。女友達と友介が、私の目の前で未来を一緒に歩いていく。そんなの私は――苦しくて見ていられない! 苦しくて、そんなの苦しすぎて――体が震え、手が震え、病院できっと致命傷なミス犯してしまう。きっと――ね」


「恵美さん、君はプロだろ! なんで患者に愛されている君が、1人の男に左右されるんだよ? 貴方を慕ってる人間は沢山いたのに……しっかりしてたはずじゃないか!」


「仕方ないみたい……プロ意識の感覚は亮に破壊された。何が正しいのか? 悪いのか? 分からなくなっていった……誰にも渡したくない。ただそれだけ。友介はいつの間にか、私の全てになっていたの――。


でもそれは精神が崩壊されるストッパーにもなっていたのよ? 貴方に分かる? 患者のために働く私が、痣を発見され、逆に患者に心配されるの。ねぇ? 私っておかしいでしょ? お笑い種じゃない?」
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