最後の血肉晩餐
「君を心配するのは当然だろ? いつも親身にしてくれる人が、悪い状況になっているとしたら、言わずにいられないだろうよ」


「受け止められなかった……なんて情けない人間なんだと、落ちこんだ。患者の支えとなり、力となり、精神的なケアまでしていた人間のはずなのにね……人って体よりも、心のほうが壊れるの簡単なんだね。治すのに時間がかかるのも、やはり心。心に関する犯罪って、みんな軽い。とっても軽い罪ばかり。そう、思いませんか?

水戸さん……殺した人間たちの中で、一番可哀想だったのが多田賢二かな。彼は友介の悪友だったんだ。一番友介に近かった彼に、相談を持ちかけたこともあった。友介の代わりをさせたこともあった。


つまり体の関係ね。変な情が生まれたと同時に、許せなくなったのよね。女を釣る遊びを友介に教えたのが……それと私への裏切りね。


水戸さん? 女遊びって楽しいの? 亮みたいな複雑な愛もあるし。私良く分からなくなってきちゃった……でも誰にも渡したくない友介を、唆した罪は重い」


「そんなに好きだった北川を、本当に恵美さんは殺した? 俺には分からない」


「一緒に暮したかったけど、逃げようとした。だから殺してしまった……誰も、もう友介には触れない。私は彼の心と体を手に入れた。もう誰のモノにもならない」


「シスターは? シスターは全く関係ないのか? そうは思えないんだが……」


「彼女は、私が捌いてるお肉に興味があった。たまたま別荘に訪れてしまっただけ。それは計算外だった。本当よ? 私が全てやったの」
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