腕枕で眠らせて








まだサンタクロースを信じてた子供の頃以来じゃないかな。こんなにクリスマスが待ち遠しいのは。



「あら、美味しそう」


「お母さんダメよ、つまみ食いしちゃ。それ、持っていくんだから」


キッチンに広がる甘い香り。

久しぶりに焼いたケーキはなかなか上出来。


「うちにも一個焼いていってよ。お父さん喜ぶわよ」


「また今度ね」


私の返事にちょっと拗ねた顔をしてボウルのラズベリーをひとつつまみ食いした母の姿は見なかった事にした。


そんな事より手元のデコレーションのクリームに集中、集中。


「随分気合い入ってるわねえ。彼氏のおうちへ持って行くの?」


「まあね。でも今日は家には行かないけど」


「あら、じゃあどこで食べるの?」


不思議そうな顔で今度はカットした苺をつまみ食いしたお母さんに、表情で「コラ」と訴えてから


「きっとスゴくイイ所」


と、得意気に微笑んで見せた。





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