止まない雨はない
って俺は何を考えているんだ。
まともに話したのだった今日が初めてだ。
まして、見かけたのを含めても数回。


女なんてみんな同じだ…
彼女だってお袋と同じ女だ。
女に期待を持ったらいけない…


そう思うのに、なぜか彼女の笑顔と浩介のあの言葉が俺の胸の中にめぐる



  「自分のすべてを投げ出してもほしいと思う女に必ず出会える。
   今は、お前はその相手を探してもがいているだけだ。
   必ずいる。お前からほしいと願う女性が…」



彼女が俺のすべてを投げ出してもいいと思える女なのだろうか…


でも、初めて俺の心に居座っている女なのは確かだ。
何度体を合わせても名前すら覚えていない。
それなのに、ほんの一瞬見かけただけなのに…名前だけは俺の心に刻まれた。


俺はそんなことを考えながら、グラスを傾けていた。
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