幸せの掴み方
圭祐は、柚葉と湊の抱擁を見た夜、ホテルに泊まり、一晩、これからの事を
考えた。

頭に浮かんだ文字は、『離婚』それだけだった。

プライドの高い圭祐は、柚葉から離婚を切り出されたら、多分自分が
惨めで、耐えられそうになかった・・・・・

それなら、自分から先に、離婚を切り出し、柚葉と別れる事で、自分の
プライドが保てるように思え、翌日、圭祐は、役所で『離婚届』を、
貰って来た。

離婚届に、自分の名を書き、スーツのポケットにしまい、一日、仕事に
励むんでいると、

「専務、今日は、ホテル、いかがなさいましょうか?」

麗美が、確認をしてくると

「否、今日は部屋に帰るから、予約しないで大丈夫だ。」

「かしこまりました・・・・・」

「あっ、それから、来月から、担当を変わって貰う事になっているから
 君も、そのつもりでいてくれ!」

「えっ・・・・と、言いますと・・・・・」

「4月1日付で、君は、総務部へ移動になるから、そのつもりで!」

麗美は、圭祐の言葉に、呆然としながらも、苦虫を潰したような顔をして

「・・・・・失礼します・・・・」

麗美が専務室を出て行くと、圭祐はホッと胸を撫で下ろし、
漸く麗美から離れる事が出来る事を、安堵していた。

後任は、圭祐と同い年の、相場 正弘 で、総務部の主任をしている。

なかなか頭の切れる人材で、ずっと圭祐が狙っていた人物だった。

総務部の部長が、なかなか放さず、漸く移動を承諾してくれて、
この春の異動で、圭祐の秘書になることが決まった。

仕事が順調に進みそうなのに、家庭では波乱が待ち受けている事に
圭祐は、苦笑するしかなかった。
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