幸せの掴み方
圭祐の話を聞き、柚葉は、圭祐がカウンセリングを受けながら、
自分と向き合ってきたことを知り、

「圭祐・・・・私も圭祐には感謝しているよ・・・・

 圭祐がいたから、菜々美や真之介を授かることが出来たんだし、
 それに二人がいてくれたから、今、こうして私も頑張って来れたの・・・

 圭祐、ありがとう・・・・・」


「・・・・柚葉・・・・・・」

圭祐と柚葉は、お互いがまだ思いあっていることを感じたが、それは
決して口に出すことはなく、心に蓋をするのであった。

柚葉は、話をすり替えるように

「圭祐、来年から社長になるのね!?・・・・」

「あぁー、また忙しくなるよ・・・・・
 
 柚葉は、もう仕事はしないのか?」


「ううん、また復帰するよ・・・・・

 やっぱり仕事をしている姿を、菜々美や真之介にも見てもらいたいし
 湊も気分転換になるんじゃないかって・・・・・」

「そうか・・・・ところで、柚葉、やっぱり菜々美と真之介の養育費
 って言うよりは、少しでもこれからの二人の為に、
 俺にも払わさせてくれないか・・・・・・

 出来たら、二人の名義の口座を作って欲しいんだが・・・・・・」


「・・・・・分かったわ・・・・子供達の口座を作ったら、連絡
 するね・・・二人の将来の為に貯金しておくわ・・・」

「そうしてくれると、ありがたい・・・・俺も父親だから・・・
 せめて一緒にいない分、そのくらいさせてほしい・・・・」

柚葉と圭祐は、漸く二人の間にあった蟠りが解けた時間だった。
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