幸せの掴み方
菜々美の一件は、時間が経った今、菜々美自身が落ち着いた事もあったのか
時々、ポツリ、ポツリと、何で意地悪されていたのか、話してくれるように
なっていた。

「あのね・・・・美咲ちゃん、翔君が好きだったんだよ・・・・

 でもね、翔君は、菜々美が良いって、言ったの・・・・

 でも、菜々美は、パパやお父さんが良いから・・・・・」

「・・・・・・・・・・・」

もしかして、美咲ちゃんは、菜々美に嫉妬していたのか?・・・・・

それよりも、菜々美の「パパやお父さんが良い」は、問題なのでは?・・・

柚葉の頭の中に、はっきりと、『ファザコン』の文字が浮かんだ。

確かに、圭祐も湊も、整った顔立ちをしているが、菜々美にとって、
二人は、一番身近な異性であり、またカッコイイ存在なんだろう・・・

「美咲ちゃんが、翔君が美咲を好きにならないのは、菜々美のせいだって」

ポツリ、ポツリと、菜々美は、気が向くと話してくれた。

子供の世界でも、嫉妬があるなら、大人の世界にあるのは当たり前だ・・・・

柚葉は、複雑な思いを抱きながら、菜々美の話を聞いていた。

この菜々美の『ファザコン』発言は、圭祐も湊も、非常に喜び、二人とも
菜々美に、今まで以上に甘くなったのは言うまでもない。

圭祐に至っては、スニーカーの件もあったので、幼稚園を辞めた
後に、柚葉は、圭祐と連絡をとり、菜々美の一件を話した。

柚葉の話に、やはり圭祐は怒ったが、託児所の成田に色々と話を聞いてもらう
事を勧めたのは、圭祐だった。

圭祐は、自分がカウンセリングを受けたことで、自分自身と向き合うことが
出来たので、成田の話をした時、

 「柚葉、その成田さんは、菜々美の事も良く知っているんだから、
  相談にのってもらうと良いよ。

  柚葉も、人を頼ることを、相談す事を覚えた方が良いよ・・・」

そう、圭祐から言われたのだ。

今となっては、圭祐の言葉に感謝している・・・
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