幸せの掴み方
夕方、美代子が落ち着いた頃、

「柚葉、ありがとう・・・・母さん、頑張るわ・・・・」

「うん・・・母さん、一緒に頑張ろう・・・」

美代子は、いつの間にか気丈さを取り戻したようで、柚葉に自分は、
大丈夫だからと、柚葉を帰した。

マンションまでの帰り道、柚葉は、頭の中で、これからの事を色々考えていた。

このまま、フランスへ渡っても良いのか・・・・・・・

母は、本当に大丈夫なんだろうか・・・・・・

先ほどまで、目の前にいた美代子は、痩せて顔色が悪いせいか、随分年を
取ったように見える・・・・・

美代子は、それこそ実年齢よりもかなり若く見え、柚葉と一緒に居ても
親子と言うよりは、少し年の離れた姉妹に見える事が多かったが・・・・

今の美代子は、顔の艶もなく、一気に年を取ったように見える。

世間では、『親の介護』を、テーマにした書籍やら、テレビでの特集などを
取り扱っていても、今までの柚葉は、特に気にすることもなかったが、
現実に、『親の病気』が目の前に差し出されてしまうと、正直、どうしたら
良いのか、分からなくなっていた。

一人で抱え込むなと、湊には言われるが、それでも、美代子の子供は、
柚葉一人だ・・・・・

色んな事が、頭の中を駆け巡りながら、歩いていると、いつの間にか
マンションに着いていた。

今日は、菜々美も真之介も、湊が迎えに行ってくれていたので、病院から
どこにもよらずに帰って来たが・・・

マンションのエントランスに入る時、一瞬、柚葉は立ち止まって、大きく
息を吐きだし、自分に言い聞かせるように

 『良し!! 大丈夫!! なるようにしかならない!! 
  これからの時間は、家族の為の時間にしよう!!』

そう、心に言い聞かせて、柚葉は、部屋に帰った。

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