幸せの掴み方
圭祐にそう言われた加奈子は、唇を噛みしめ、顔を歪めていた。

「とにかく、俺の結婚は、俺の自由にさせて貰う!
 柚葉、帰るぞ!!」

圭祐は、そう言い残し、柚葉の腕を引っ張って、店を出た。

柚葉は、信二達に向かって、頭を下げる事しか出来ず、そのまま圭祐に
引っ張られて、マンションへ帰った。


「圭祐・・・・・大丈夫?」

「柚葉は、心配しなくていい・・・・母さんは、いつもそうなんだ。
 俺の事は、自分の人形のようにしか思っているんだ・・・・
 俺は、あの人達に、親らしい愛情をかけてもらったことが
 ないんだよ・・・・」

圭祐は、苦しそうにそう言い、柚葉は、圭祐の心の傷の深さを改めて
垣間見たようだった。

柚葉は、両親からは愛された記憶がなくても、祖父母達が愛情を注いで
くれた・・・・・

お陰で、柚葉は、自分に自信は、未だに持てないが、人を愛すること、
人を好きになることは出来る・・・・

でも圭祐は、小さい頃からの環境で、人を好きになるという感情が
欠落していて、自分でもそれを認識していた。


「圭祐、私は、圭祐さえいてくれればそれでいいから・・・・」

「柚葉・・・・・ゴメンな、嫌な思いをさせて・・・・」

結局、信二と加奈子には、二人の結婚は、認めてもらえず、それも
仕方がないと圭祐に言われ、柚葉は、加奈子達が少しでも心を開いて
貰えるように努力するしかないと、思っていた。
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