幸せの掴み方
赤ちゃんは、さっと綺麗にしてもらうと、柚葉の胸の上に乗せられ、
圭祐と二人で、『可愛い!! ようこそ相楽へ』と、圭祐は囁いた。

圭祐は、柚葉の出産で、今までいがみ合って来た加奈子を、少しだけ
許せるような気がしていた。

「お父さんも、抱いてみてください」

看護師に促されて、圭祐は、そろそろと赤ちゃんを抱いた。

赤ちゃんを抱いた感触が、小さく壊れそうなのにしっかり生きている、
圭祐は今まで味わったことがない程感動した。

圭祐が分娩室から出ると、廊下には、美代子と正二が待っていた。

「お義父さん、お義母さん、ありがとうございます。
 今、生まれました。可愛い、女の子です。」

「そう・・・良かったわ!!ありがとう圭祐君。」

「そうか、良かった。良かった。無事に生まれたか!!」

二人は、やはり感動しており、三人はそのまま、赤ちゃんを見に
新生児室へ向かった。

「きゃー、可愛い!!家の子が一番ね!!」

「おいおい、美代子、それは、ひいき目というんだぞ!!
 でも、可愛いな!!」

「そうですよね。自分の子ながら、可愛いです。」

三人は、人目も気にせず、柚葉の産んだ赤ちゃんを見ていた。

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