廓にて〜ある出征兵士と女郎の一夜〜
男はひょろりと立ち上がり言った。
『明日、工場に出ます。工員たちに別れの挨拶をするために。
私に手紙を預けて下さい。
無事に廣島まで行けたら、お届けしますよ。途中撃沈されたら悪しからず』
そして翌日、悟は手紙を書き直し、男に手紙を託した。
男は
『これが天国行きの切符になればよいですが』
と笑って工場を後にした。
南方は更なる激戦地である。
悟は彼に最敬礼をして別れを告げたのだった。