廓にて〜ある出征兵士と女郎の一夜〜
播磨は迷ったあげくに、お陽を買った。
彼女を抱かなければいい。
そう決心してゲートルを外し、靴を脱いだ。
播磨が女主に前金を渡すと交換に手紙を返された。
『おたみさん、お客だよ。おようはまだかい?』
『へえ……』
おたみという女中が二階に上がって直ぐに、海軍の紺色の軍服を着た将校が降りてきた。
恐らく、お陽の客だったのだろう。
女主は将校を愛想よく送り出していた。
播磨は、おたみという女中に連れられて二階の一室に案内される。
さっきまで、お陽と将校が寝ていた部屋だ。
播磨は酷く不快な気分になる。
『おようちゃん、いいかい?』
『ええよ。どうぞ』
中から聞こえる声は、とても艶やかだ。
播磨はゴクリと唾を飲み込む。
『じゃあ、ごゆっくり。兵隊さん』
おたみが会釈をして去っていく。
播磨は深呼吸をして、襖に手をかけた。