廓にて〜ある出征兵士と女郎の一夜〜


『お陽さま


愛しています。

あの出逢いは、僕たちの運命だったと信じて

僕は今を生きています。


あなたは、たった一夜のことと、こんな僕をお笑いでしょう。


それでもきっと、信じて下さい。


戦争が終わったら、いいえ、この戦に負けようとも

どんな恥をかいても生き延びて、僕はあなたを迎えに行きます。


きっと迎えに行きます。



僕は、あなたをもう一度この胸に抱くために生きています。



空から雨のごとく降り注ぐ機銃掃射や焼夷弾。


劣悪な環境に漂う病魔。


僕は全てから逃れて、きっとあなたの前に現れるでしょう。


どうか、それまでご無事で……


投げやりにならずにいてください。


遠藤 悟』






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