廓にて〜ある出征兵士と女郎の一夜〜
播磨は軍服に着替え、背のうを背負う。
『では。僕はこれで。……遠藤さんには合わせる顔がないが、彼に、播磨は悔いなく散ったと伝えて下さい』
『播磨さん?』
お陽は播磨の様子が気になったが、彼を止めることもできずにいた。
『お元気で』
播磨はひきつった笑顔を浮かべて言った。
遊廓を後にした播磨の耳には、酔っ払った海軍士官たちが川沿いで唄っている
【海ゆかば】
が聴こえてきた。