妖花



 後ほど……月が晴れて月光が、飲み仲間とつるむ浪人や、開けっ放しだった店の戸を閉めるおやじなどをぼんやりと照らした。

あたかも彼らは、古着屋がここに来る前から、その場に居たようである。


 あれが、視えなかったのだろうか。


 強いて言うなら、建物の間に居た黒猫が小刻みに震えながら、

あの百舌の気配が残る場所を睨んでいるだけだった。












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