【完】ダンデライオン
おばあちゃんは、「さぁ、家に向かいましょ」と歩き出す。
私はその隣をついて歩く。
おばあちゃんの家までは、駅から歩いて10分くらいみたい。
そんなに遠くはないけど、めぼしい建物もない道路で山々とかの緑が沢山。
何もないからこそ、なんだか遠く感じる。
それに、木が多いからなのかセミがすごくうるさくて、暑さを助長してる。
ちょっとキツい。
おばあちゃんは全身黒コーデなのに、涼しい顔で歩いてる。
私は汗だくになりながら、キャリーバッグを必死に引きずる。
…そんな涼しい顔してるなら、おばあちゃんが私の荷物を持ってほしい。
……言えないけど。
「今日から夏休みなんだってー?」とか、「今日の夕ご飯、何が食べたい?」
とか、おばあちゃんは私にガンガン話しかけるけど……。
息切れがヤバいから後にしてほしい……。
返事なんか出来るわけもない。
息切れしている私を見て、おばあちゃんは空気を呼んだみたい。
「また後で聞くわね」と言ったきり、私に話しかけることはなかった。
そして、歩くペースを少しゆっくりに落としてくれた。
でも、暑いし、重いし、辛いしで、私はずーっと足元を見ながら歩くことしか出来なかった。
そのまま、数分歩いていたらおばあちゃんの家はあった。
「着いたわ」
というおばあちゃんの声が聞こえて、私は顔をあげた。
見上げたその家を見るのは5年ぶり。
おばあちゃん家は、本当にすごかった。