【完】ダンデライオン
でも、私にはあまり聞き取れなくて……もう一回言ってもらおうと思った。
「今、なんて言ったの?」
『いや……お前は知らなくて良いことだ』
「えぇっ、言ってよー!気になるじゃん」
『もう良い。』
もう一回言って、と何回か頼んでもマグノアは否の一点張りだった。
「もう…っ!マグノア!」
だんだんイライラしてきて、大きな声が出る。
私の非難するような目を見て、マグノアはフッと笑った。
『情けない話だ……そんな話を、お前に聞かせたくはない。』
「………そっか。ならもう聞かないよ…」
そう言われると、なんか突っ込めなくて引いてしまう。
私が、もう聞くつもりがないと察したマグノアは、ニヤリと笑った。
『…じゃあもう聞くなよ?』
「は…はぁっ!?」
こ、コイツー!!!!
騙しやがったー!!!!
そんな私を嬉しそうに見ながら、マグノアは私に背を向ける。
『……悪いが、仲間たちが呼んでいる。……じゃあな。』
「えっ……ちょっと待っ……」
私の返事を聞かず、マグノアはまたもや走り去って行った。
私は、ふと右手の手鏡を見る。
そして、左手の人差し指をクイ、と曲げた。
さっき持ち上がった小枝が、また空を舞った。
マグノアが立ち去っても、私は魔法が使えるという事実は変わらなかった。