【完】ダンデライオン
「うん。あんまり異世界で魔法を使いすぎると帰れなくなるって言い伝えがあるんだ。だから、必要
な時だけが良いよ」
「……分かった。」
最初は、お守りと称してもらっただけの手鏡が、こんな風に意味を持つなんて……。
手鏡は淡い色合いのはずなのに、変わらず深い色味を放っている。
しばらく手鏡を眺めていたけど、ふと視線に気付く。
エルノは、私を見つめていた。
「……やっぱり、もとの世界に帰りたいよね。」
言葉には出して言わないものの、寂しさを含んでいることが感じ取られる。
エルノは、ずっと一人だったし……それは寂しいだろう。
でも、もとの世界にいるパパやママと離れて生きていくなんて…想像もつかない。
だけど……エルノとも、一緒にいたい。
「…………」
どう返事をしようかと考えこんで、無言になった私の頬を、エルノの細長い指がそっと撫でる。
そっとエルノを見上げると、寂しそうに微笑む彼の表情があった。
「………ごめんね」
私には、分からない。
彼が、何に謝っているのか…?
エルノは、私の頬に手を添えて、そっと顔を近付ける。
私は、動けない。
「エル………」
彼は、私の唇にそっとキスをした。
そして優しく微笑むと、私を抱きしめた。