【完】ダンデライオン
「確かに、悪口って悪意がないと言えないからね…そう思うかもしれない。でも…私たちは私たちなりに、この国を愛する王子を愛しているんだよ。」
そう話すケイスさんは、とても優しい笑顔だった。
そういえば、エルノと通りを歩いた時は皆笑顔でエルノに話しかけていた。
あれは演技だったようには、到底見えなかった。
国民は国民たちなりに、エルノのことは愛している。
それは、嘘ではないのかもしれない。
でも、やっぱり残る疑問。
「じゃあ……何で悪口を…?」
ケイスさんは、少し考えるようなそぶりをしていたけど、考えがまとまったのか私を正面に見据えた。
「私たちはね…王子に物足りなさを感じてるんだ。」
「物足りなさ…?」
「うん……。この国には原因不明の魔法がかかっていて、年をとってもある程度の年齢でとらなくなる。老いが止まる。」
国王がかけた魔法であることは、国民たちにとっては原因不明な魔法であると思われているみたい。
「国王も亡くなってしまって、王子も年をとらないから王位が継承できないって。そう言うけど…!」
ケイスさんは、グッと手のひらを握った。
「それでも、頑なに決まりを守らなきゃいけないものなの?って、皆思ってる……王子が、決まりを作り変えていけば良いのに、それをしないで50年もこのままだから私たちは腹が立つの。」
「ケイスさん……」