【完】ダンデライオン
ケイスさんはハッと我に帰ったみたいで、握っていた拳をほどいた。
その手のひらは、力なく開いていく。
「私たちは、王子に王位を継承してもらいたいのに……王子はいつまでもそのまま、何も出来ない自分を嘆いている。そんな王子を、愚痴る国民が増えてきてるの。」
「……そうだったんですか……」
ケイスさんたちにも、ちゃんと理由があったんだな…。
まぁ、影でいうのは賛成できないけど……言いたい気持ちは分からなくもない。
エルノは、魔法をとく方法のことでいっぱいになってしまっているけど……
はたから見れば、きっと国民はどうしてもそう思うと思う。
「でもね、早くこの魔法がとければ良いと思うよ。」
「え…?」
そう言い出したケイスさんをふと見ると、とても優しい笑顔になっていた。
「きっと…王子は正式な形で王位を継承したいだろうから、それが一番幸せな方法なんだよね…」
その言葉を聞いて、分かった。
この人たちは、ちゃんとエルノのことを理解している。
それでも、この国を愛していることを、もっと目に見える形で示してほしかった。
決まりを破ってでも王位を得るという行動で、愛情を感じたかったのかもしれない。
だけど、エルノはそんなことをするタイプじゃないと理解していて、もどかしさを抱えていたのかもしれない……。
なんて、不器用な国の人たち…。
大切なことは、言葉にしなきゃ伝わらないのに。
「……そうですよね……」