【完】ダンデライオン







そうして、ケイスさんは帰って行った。 





私は、謁見の間に一人。
さっきまで座っていたイスに、またストンと座る。




大理石で出来た、艶めく美しい床を見つめながら。
私の胸の中には、モヤっとした…くすぶるような気持ちが、胸を渦巻いていた。




初めて知った、国民の思い。
あんなにも…エルノを思っていたなんて……。



エルノが魔法のとき方を探していると、国民に言ってしまえば…もっと協力しあえたんじゃ……


と、ふと思ったものの。






「それは無理か……」

ポツリとつぶやきが口からこぼれた。




それは多分無理だろうな。
国民に言おうにも、エルノ自身もほとんど魔法のことを知らない状態だから。




じゃあエルノが知らない理由は……?





「……!おばあちゃん……」





そう。
魔法をかけた人物。
魔法をかけた理由。
魔法の内容。



おばあちゃんは、魔法のとき方以外は全て知っているとマグノアも言っていた。



そのおばあちゃんは、エルノに真実を全く教えなかった。
それはなぜか…?





「確か……『全てを知っていることが、幸せとは限らないから。』」




その理由が、エルノが真実を知らない理由。




それは、おばあちゃんも教えてくれなかった。




ここで、やっぱり疑問として残るのは……エルノのお父さんの謎。


エルノのお父さんには、何が起こったんだろう……?




それを知るのは、マグノアだけと言われている。




「……聞いてみるしかないかぁ…」




雪の国の魔法をとく可能性…。
それが私で、私に与えられた魔力を増大させる手鏡、遺伝子、そしてシーク。




あの少し、あと少しだけ分かれば……魔法をとくことが出来るのかもしれない。
そんな手応えを感じている。




あとは、マグノアと…エルノ次第かなぁ。




ふぅ…と、一息ついてイスから立ち上がる。
謁見の間を出ると、執事のおじいさんが私のことを待っていた。











< 253 / 286 >

この作品をシェア

pagetop