【完】ダンデライオン





私は言葉を失い、泣きながらマグノアを見守ることしかできなかった。



マグノアの苦しげな声が時々聞こえる。
本当なら死に至る猛毒に、苦しむマグノアは、一体どんな苦しさだろう……。




私が代わってあげられたら、どれだけ良かったか……。





『ぁあぁあああ………はぁ…はぁ……なぁ、たんぽぽ……』





突然、マグノアに名前を呼ばれる。




「な、なに…?どうしたの…?」




『限りある…命、という…ものは……儚いけれど…とても、尊い。』





「え……?」




マグノアは、うっすらと微笑んでいた。





『永遠…の命がある、と…いうのは……幸せだ…とは…限らない……私は…今日まで、ずっと…寂しかった……悲しかった…、辛、かった……。』




今、初めて語られたマグノアの本心。
それは、とても辛かったんだろう……。




そう思うと、涙がこぼれた。





『それ、でも……仲間のために……弟、のために…生きてき、たことは…誇り、だ……』




マグノアは、私とエルノを交互に見る。
その大きな瞳は真っ直ぐで、出会った日と…何一つ変わらない。





『だが……もう……自分の、こ…とだけを、考えて…も許さ…れるのだろう…?』





オオカミの長として、エルノの兄(実際は弟だけど…)として…
本当はずっと、悲しさ、辛さに耐えてきたんだろう。





マグノアが一人で背負ってきたものは、とても重くて、苦しい過去と約束だった。




でも、もう、マグノアを自由にしてあげたい……。
何か…何か出来ないのかな…











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