Ending Note
「……父さん。姉ちゃんの気持ちも少しは分かってやれよ」
虎太郎が静かに口を開いた。
ママが死んだ今、我が家の役割分担が変わった瞬間。
パパは怒る役に、虎太郎がなだめる役になった。
……あたしは結局、いつまでたっても怒られっぱなしの“子供”役だ。
「あれだけ言っていただろう、すぐに連絡が取れるようにって。それなのに男とカラオケに行ってただと!?」
もう1発、あたしの頬にパパの大きな手のひらが襲って来ようとしたとき、虎太郎の大きな体がそれを阻止した。
「俺、姉ちゃんと家に戻るよ。喪服の準備とかいろいろあるだろ」
言われて、パパはようやく冷静さを取り戻す。
「あ……、そうだったな。悪かった。……えぇと、確か葬儀社に連絡しないといけないんだよな」
パパが困ったように言うと、あたしのそばにいたベテラン風の看護師さんが口を挟んできた。