本音は君が寝てから
*

 そんな日々が続いて、気がつけば時は6月。
夏休み期間の特別バイキングの打ち合わせなどで、いつもより慌しい日々を過ごしていた。

 最後に彼女を見たのは5月の終わりだ。その後ゆっくり客席をチェックする暇も無く、それ以降彼女がどうしているのかも分からない。

こうして会えなくなって初めて、いつ来なくなっても不思議は無いってことを実感する。

そして俺はいつものように諦めを知る。

若干気分が沈んでくるが、きっとこれで良いんだろう。

あんなに綺麗なんだし、仕事もできそうだし。
きっと恋人なり旦那なりいるのだろう。
当たって砕ける勇気はもう俺には無い。いや、若い時も無かったが。


 そんなある日、怒涛のランチバイキング時間を追え、片付けに入ろうとすると牧田がニヤニヤしながら厨房に入ってきた。


「香坂さん。お呼び出しですよ、女性です」

「……女性?」


そう言われて思い浮かぶのは彼女。

いや。
いやいや。

それは願望だ。彼女が俺を呼び出すような用件があるわけが無い。

期待はそれが違った時の幻滅が辛いからしない。

それが俺のポリシー、……なのに、やっぱり期待している自分がいる。
口の中に唾が溜まり上手く飲み込めない。

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