本音は君が寝てから

緊張しつつ、客席側からレストラン入り口に向かい、そこにいた女性の姿に心が躍る。

嘘だろ? 本当に彼女だ。


彼女は俺を見つけると、にこりと笑い頭を下げた。


「あ、記者さんの……」


名前が出てこない。
毎日のようにその顔を思い描いていたのに、俺は名前さえちゃんと覚えていなかったのか。


「集考社の森宮と言います。……あの、香坂さん」


彼女の方はちゃんと俺の名を知ってる。
初めて話した日に、俺は名前を言ったんだったか?


「はい、なんでしょう」


内心の狼狽は顔に出さないようにして答える。

格好悪いところは見せたくない。
いい年の大人としての態度を取らなくては。

でもちょっとつっけんどんすぎるか? 
ああ、もう、どれが正しいのか誰か教えてくれ。


「あのこれ、仕事の話ではないんですが。私が勝手にホテルのレストランについて知りたくて。……その、仕事になるかは全然分からないので、お仕事の時間にお願いするのは申し訳ないんですけど。いつか話を聞かせてもらえたらって」


彼女は、緊張した面持ちで一気にまくし立てた。

ちょっと待て、話についていけない。
レストランの話?

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