本音は君が寝てから


 神様はどうしてこう意地悪なのだろう。

彼女と約束した日に限ってトラブルが続出する気がする。

俺が走って『ショコラ』についたのは、【もう彼女待ってますよ】という相本のメールが来てから一時間半後だ。


「はあ、はあ、待たせてごめん」


鈴の音と共に息を切らして入ってくる俺を、彼女は申し訳なさそうに、相本は痛いものでも見るような目で見る。


「ごめん、本当にごめん」

「いいんです。すみません、やっぱり忙しいんですよね」

「いや、ホントに今日は大丈夫だったはずなんだけど……」


だけど……なんて言えばいいんだろう。
結果として遅れたんだから、どんな言葉も言い訳になるような気がする。


「森宮さんが気にすることないよ、香坂さんが時間読めないだけなんだから。前にも俺言いましたよね。連絡くらいしたらいいじゃないですか」


何故か相本の方が怒っている。
コイツ、仏頂面してる時は滅茶苦茶こえーんだよな。


「とにかくごめん。行こうか。相本悪いな」

「俺はいいですけどね」


一つため息をつくと、相本はゆっくりと彼女の方に視線を移す。

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