本音は君が寝てから

彼女を手放したくない。
だから気持ちを伝えなければ……と思うのに、この沈黙は勇気をそぎ落としていく。

やっぱりもう嫌われてしまったんだろうか。

当たり前か。
何度も約束に遅れてくるような男なんて、気に入られる要素が無い。

自棄になって、酒をがぶ飲みした。

同じように彼女も飲んでいたから、気づいたらお互いに、とろけたような目つきになっていた。




「……相本に、なんか言われたの?」


酔いが理性を奪っていくのか。
一番気になっていることが、すべるように口から出てくる。


「えー? んー。何でしたっけ。隆二さん……いや、大した事は話してないですぅ」

「そう?」

彼女の口調もいまいち回っていない。
酔っ払っているのか?

絶対なんか意味深な会話をしていた筈なんだが、言えないようなことなのか?


「俺が来るまで何話してたの?」

「えぇ? 主にケーキの話ですぅ。詳しいので、メモ取らせてもらったりして。いつかケーキの特集もいいなぁとか」

「他には?」

「別にないですけど?」


隠している。
俺には話せないこと?

でも、相本となんて俺が出会わせたようなもんだ。
俺に断りもなく彼女に惚れるなんて理不尽だ。

春先からずっと気になっていた彼女を、こんな風に横から掻っ攫われるなんて黙ってられない。

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