本音は君が寝てから
気がつけば46歳。
仕事に明け暮れている間に結婚適齢期なんぞはいつの間にか過ぎてしまっていた。
渋いおっさんとかチョイ悪親父とか言われても、それは見た目だけで実際俺は女性の扱いには慣れていない。
相手から寄ってきてくれた頃は数人と付き合ったこともあったが、出会いが限定される今はもう長いことお一人様だ。
それに、最近出会う女性は皆既婚者だしな。
独身と言えば15歳以上若い女性がほとんどで、そこまで若いと今度は恋愛対象に入らない。
「はあ」
漏れるため息に自分で苦笑する。
ロイヤルホテルの料理長としてそこそこの知名度を持ち、仕事的には成功を思われているこの俺も、結局のところ本来自分が願っていた幸せは手に入れられてない。
いつか自分の店を持って可愛い嫁さんと一緒に経営する、なんて子供でも思いつきそうな夢だったんだがなぁ。
単純な夢ほど叶いそうで叶わないものなんだな。
二月の北風がコートの隙間に入ってくる。俺は首をすぼめて家路を急いだ。