青の向こう



学校の横にある山と、団地の底辺辺りとが隣り合っている間にその小道はあった。

通称、蜂の道。

山に近いからか蜂が出没しやすい為、付けられた単純な名前。

まあ小学生のネーミングセンスなんてこんなものだろう。

当時の私はこの道で蜂になんて会った事がなくて、どちらかと言えば蝉がぎんぎん五月蝿いから蝉の道でいいのに、と思っていた。

そもそもこの道を通った事がほとんどなかったからなのだが。


蜂の道はやはり人影はなく、やけに近くなった山のせいで余計に蝉の声が耳に響く。

まるで耳元に直接蝉が鳴いているかのように五月蝿い。

隣には幅三メートル程の窪んだ水の流れがあり、幼い頃の私はこれを川だと思い込んでいたが、今こうやって歩いていると、それが団地の各家から出る生活排水を運ぶ水路だという事が理解出来る。


小道を歩くにつれ段々水路が小さくなってきた。

それに伴って住宅が広がってくる。

私は山に隣接された家を見ながら夏は蚊に刺されて大変だろうな、と顔をしかめながら思った。

そういえばこの辺りに住んでた同級生はいなかったっけ。

仲がよかったみっちゃんや滋達もみんな上の方のマンションだ。


けれど学校に行く時、いつもこの蜂の道側から歩いてる子もいたっけかな。
あんまり見た事がない顔だったけれど。


そんな事をぼんやりと思い出しながら歩くのも何だか楽しい。
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