幻影都市の亡霊
「違う……ウィンレオは、笑ってた……。力強く民を引き連れ、太陽のように輝いていた。愛する人達を失っても……その強い精神力で包み込んで……」

 笑ってたのだ。ウィンレオは。ウェインはこくんと頷いて、

「きっとハルミナさんは、自分の未来をヨミに預けたんだ。きっと、お前に笑っていて欲しかったんだ。ツキミはな、お前が造りだしたお前の罪悪感だ。ハルミナさんがお前に抱いてほしかったものじゃないはずだ」

 このとき、ウェインは悟っていた。

〝『あんたの父親は世界一強い人だよ』
 『母さんよりも?』

 母さんはこれには答えなかった。だからずっと……母さんが一番強い人なんだと思っていた。

 『強くなりなさい』

 母さんは口癖のように言っていた。だけどその言葉は……自分に言い聞かせていたんだ……〟

 ユアファはやっと顔を上げ、だがその顔は泣き顔で、ウェインを見た。

「……ウィンレオ、あたし達の息子は、あたし達をちゃんと見てくれていたわ」
「ああ、立派な子に育ててくれて、ありがとう。あれは、輝いている」

 ファムがととと、とウェインの肩によじ登った。

「むー」
「お、目を覚ましたか」

 ユアファは知っていた。息子があの魔造生物だけに心を許し、あれだけが友だと思っていたことを。だが、今は違う。ヨミや、エキストの民や、そして自分達と触れて、心を開いている。人に対して。自分の殻にこもっていた息子じゃない。
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