幻影都市の亡霊
「さっきのは、なんだろうな、初めて見たぞ」
「むぅ……?」
同じ魔造生物にもわかりかねるらしい、駆けながら真剣に困った声を出す。その頃には辺りは暗くなっていた。そろそろ、彼の町が見えるはずだ。森の奥、この辺境の地に住んでいる。物好きの集まりと、言われることもある。
「そろそろ、だな。ありがとう、ファム、自分で歩く」
ファムに礼を言って、少年は降りた。ファムはそのまま身震いすると、身体はみるみる縮んでいった。そのままファムは少年の肩に乗った。少年は歩き出した。そろそろ、町の影が見えるはずだった。街道が終わりを告げるはずだった。
「……?」
かすかな、違和感を覚える。暗がりの中、それが何か、と言い切ることはできない。ただ、いつもと違うのだ。少年は眉をしかめた。ファムが身体を駆け下りて、少年の前を歩く。
「……む」
ファムが、立ち止まった。その群青の瞳がきらりと不信の色に光る。
〝なんだ……?〟
少年は思わず歩みを止めていた。あと、五分ほど歩けば、そこに着くはずだ。着くはずなのだが……。
〝何が、違う……?〟
少年は、ひしひしと焦燥を感じた。何かが、起こっている。自分が知らないことが、起こっている。
「っ……ファムっ?」
突然、ファムが駆け出した。少年が驚き、そのままそれを追いかけた。
「ファムっ!」
少年はファムに追いついた。それはファムが止まっていたからだ。
「ファム……?」
少年が訝しげにファムを見下ろす。ファムは毛を逆立てて、低く唸っている。
「……」
何気なく、少年は視線を戻した。
「っ……!」
その瞬間、驚愕に少年の思考は凍りついた。息をするのさえ忘れた。
「むぅ……?」
同じ魔造生物にもわかりかねるらしい、駆けながら真剣に困った声を出す。その頃には辺りは暗くなっていた。そろそろ、彼の町が見えるはずだ。森の奥、この辺境の地に住んでいる。物好きの集まりと、言われることもある。
「そろそろ、だな。ありがとう、ファム、自分で歩く」
ファムに礼を言って、少年は降りた。ファムはそのまま身震いすると、身体はみるみる縮んでいった。そのままファムは少年の肩に乗った。少年は歩き出した。そろそろ、町の影が見えるはずだった。街道が終わりを告げるはずだった。
「……?」
かすかな、違和感を覚える。暗がりの中、それが何か、と言い切ることはできない。ただ、いつもと違うのだ。少年は眉をしかめた。ファムが身体を駆け下りて、少年の前を歩く。
「……む」
ファムが、立ち止まった。その群青の瞳がきらりと不信の色に光る。
〝なんだ……?〟
少年は思わず歩みを止めていた。あと、五分ほど歩けば、そこに着くはずだ。着くはずなのだが……。
〝何が、違う……?〟
少年は、ひしひしと焦燥を感じた。何かが、起こっている。自分が知らないことが、起こっている。
「っ……ファムっ?」
突然、ファムが駆け出した。少年が驚き、そのままそれを追いかけた。
「ファムっ!」
少年はファムに追いついた。それはファムが止まっていたからだ。
「ファム……?」
少年が訝しげにファムを見下ろす。ファムは毛を逆立てて、低く唸っている。
「……」
何気なく、少年は視線を戻した。
「っ……!」
その瞬間、驚愕に少年の思考は凍りついた。息をするのさえ忘れた。