幻影都市の亡霊
「お前はもう、魂だけの存在になったぞ。どこにでも行ける」
「なぁ、貴方はハルミナという女性を知らないか?」
ヨミは起き上がりながら尋ねた。その出した声も、全てに響くような感じだった。辺りを見回しても、見知ったものではない。光の色も、何もかもが違う。
風が、違う。
「ここへ来ているはずなんだ。知らないか?」
男の瞳は、暗い光をたたえ、首を横に振った。ヨミはあっさり頷き、
「そうか貴方は会ってないのか。自力で探さなくちゃあな」
「会えない」
「え?」
ヨミははっとして男を見た。
「君は勘違いしているだろうと思った。敢えては言わなかったが……。幻界は死者の世界ではないぞ」
「え……?」
ヨミの顔が真っ青になる。ゆっくりと力なく男に歩み寄る。
「何故……? そんな……」
「亡霊は人間が死んだものじゃない。魂が肉体という形を持ったものが人間で、魂がそれだけでかたちどっているものが、亡霊だ。君は肉体を棄てて精神体だけの存在になった。亡霊も、人間も、死は魂の死だ。確かに肉体に囚われない分、亡霊は寿命も長いし、魔に近い。だが、死者には会えない」
「あんた……何言ってんだ……」
ヨミの気配が俄然変わった。黒いオーラが空間を巻き込みながら広がっていく。
「ハルミナに二度と会えないだとっ!? 俺を……っ」
「お前……っ」
男が驚愕の声を上げた。突然、ヨミの中から白いものが現れた。
「っ」
「なんて……こった……」
ヨミの中から現れた白いものはにゅるりとヨミから這い出て、少しずつ形を作ってゆく。男は眼を見張っていた。
「お前、器がでかいとは思っていたが……そこまでか?肉体を棄てた反動で、新たな意識体を発生させるほどか!?」
ヨミから発せられていた黒いオーラが収束して、白いものを包み込んでゆく。ヨミは驚いてそれを見ていた。
「なぁ、貴方はハルミナという女性を知らないか?」
ヨミは起き上がりながら尋ねた。その出した声も、全てに響くような感じだった。辺りを見回しても、見知ったものではない。光の色も、何もかもが違う。
風が、違う。
「ここへ来ているはずなんだ。知らないか?」
男の瞳は、暗い光をたたえ、首を横に振った。ヨミはあっさり頷き、
「そうか貴方は会ってないのか。自力で探さなくちゃあな」
「会えない」
「え?」
ヨミははっとして男を見た。
「君は勘違いしているだろうと思った。敢えては言わなかったが……。幻界は死者の世界ではないぞ」
「え……?」
ヨミの顔が真っ青になる。ゆっくりと力なく男に歩み寄る。
「何故……? そんな……」
「亡霊は人間が死んだものじゃない。魂が肉体という形を持ったものが人間で、魂がそれだけでかたちどっているものが、亡霊だ。君は肉体を棄てて精神体だけの存在になった。亡霊も、人間も、死は魂の死だ。確かに肉体に囚われない分、亡霊は寿命も長いし、魔に近い。だが、死者には会えない」
「あんた……何言ってんだ……」
ヨミの気配が俄然変わった。黒いオーラが空間を巻き込みながら広がっていく。
「ハルミナに二度と会えないだとっ!? 俺を……っ」
「お前……っ」
男が驚愕の声を上げた。突然、ヨミの中から白いものが現れた。
「っ」
「なんて……こった……」
ヨミの中から現れた白いものはにゅるりとヨミから這い出て、少しずつ形を作ってゆく。男は眼を見張っていた。
「お前、器がでかいとは思っていたが……そこまでか?肉体を棄てた反動で、新たな意識体を発生させるほどか!?」
ヨミから発せられていた黒いオーラが収束して、白いものを包み込んでゆく。ヨミは驚いてそれを見ていた。