彼氏と彼女の抱く絶対的な秘密。

『わあっ!いってる、いってる!いけるっっ!!』

「も、ちょっと…頑張れっ」

ウィンウィンウィンウィンウィン…パッ

ボトッ


アームに掴まれていた人形が、落ちるべき所で落ちた。

そこはもちろん、…取り出し口!


『やったぁっ!ゲットーッ!』

あたしは出てきた人形を、ぎゅーっと抱きしめた。

亜優はそんなあたしを見て、ポケットに手をいれながら笑った。

あたしに抱きしめられているウサギの人形は、少しいたずらっこな顔をしていた。


これはあたしが笑莉から教えてもらったキャラ。

見せてもらって一目惚れ。

でもあんまりグッズがなくって、ずーっと会えないままにいたけど…。

ここのゲーセンで、やぁっと出会えてゲットできたのだ。


『ありがとうっ、亜優!』

そういうと、亜優は少し照れた。

率直にありがとうとか言われると、照れちゃうタイプだからね。可愛い。


今のウサギは亜優がとってくれた。

亜優はユーフォーキャッチャーがけっこう上手。

でもでも、あたしだって負けてられない。

『この前』以来、ちゃんと特訓したんだから。



『…あ、これっ』

あたしはユーフォーキャッチャーを巡っていると、あるものを見かけた。

【fee・lee】の某作品の人気キャラの財布があった。

これ、亜優の雰囲気にピッタリだなぁっ。

それに今のお財布は、もうずーっと使ってボロくなってたっぽいし。

「新しいの欲しいんだよなぁ」って言ってたし。

これ、あげたいなぁ。

クリスマスプレゼントはもう買ったけど、追加、でもいいよね。


ちなみに今、亜優がトイレにいっていてあたし一人。

このチャンスを逃すわけにはいかない。


ウィーン、と横に短めに動かす。

ウィーーーーーン、と縦に上手く動かして…。



『やった!掴んだっ』

アームは上手く財布を掴んだ。


ウィンウィンウィンウィンウィン……

ボトッ




『…あ、とれた』


まさかの…

『一発ーーーーーー!!!!!!』



あたしは財布をかかえあげて、喜んだ。




亜優はどんな顔するかなぁ?


あたしの頭の中には、笑顔の亜優が浮かんでいた。


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