なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
胸に抱えていたスーツをソファーにばさりと置く。
匂いが自分につくのが嫌で、そのまま1人シャワールームへ急いだ。
全部洗い流して石鹸の匂いだけを体に残し、バスルームのミラーに写っている自分をまっすぐに捉える。
『よけいなことは考えない。出ていない答えを自分で作り出しても決してプラスの答えは導き出せない』と、言い聞かせた。
様子をみよう。
もう少し様子をみてからでも遅くない。もしかしたら本当に二人で会っていたのかもしれないけど、もしかしたらもうこれで会うことはないかもしれない。
同じ香水の匂いがしたからといって全てを疑うのはあまりよくない。
「大丈夫、自信を持って。きっと問題ない」
声に出して自分自身に言って、萩原さんが寝ている自分のベッドに戻る。
いつもは気を張っていて抜け目ないんだけど、今、私の目の前には安心しきって眠りについている萩原さんがいて、なんだか無防備で可愛くも見えて、知らないうちに笑みがこぼれている。いつも私にしてくれるように髪の毛を撫でて、目にかかっている髪を耳にかける。
起きないようにゆっくり静かに隣に潜り込んで、頬を撫でて、そこに優しくキスをした。
「おやすみなさい」
返事はもちろんないけど、それでいい。
私の思い過ごしでありますようにって祈りながら、手を繋いで瞼を閉じた。