なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
指定された場所に着くと既に野々宮さんは来ていて、パソコンを開きながらコーヒーを飲んでいた。
初めて会ったときと同じように上から下まで黒黒黒。
長い髪の毛は気だるそうにサイドに長し、黒縁のメガネをかけて足を組みながらパソコンに向き合う姿は様になっていた。
何を言われるんだろう。怖い。
私の視線に気がついた野々宮さんは、こっちを向いてにこりと笑った。
「どうぞ」
パソコンを閉じてメガネを外しながら、ここに座ってと自分の前の席を指差し、ウェイターを呼んだ。
「飲み物は?」
「けっこうです」
「ふふ、まあいいじゃないそんなに嫌わないでよ。コーヒーでいい?」
同じものを。と、勝手にウェイターに注文し、メガネをケースにしまってバッグに落とす。
「お話ってなんでしょうか」
「そんなに焦らないで。コーヒーがくるまで待てないくらい時間ないの?」
時間はありますけど、あなたと話す時間は極力最小限にまとめたいというのが本音。
「その感じだと、私と話すのは嫌なようね」
「いえ、別にそういうわけじゃ」
心を見透かされているようで、焦った。
「いいのよ、その方が話しやすいから。それなら、結論から言ったほうがいいかしらね」
「結論?」
「私ね、いつもはニューヨークを拠点に仕事をしているんだけど、こっちで開く絵画個展のために久々に日本に帰ってきてね、偶然あのバーであなたたちに会ったの。何年かぶりに再会した彼を見て思ったんだけど...」
コーヒーが2つテーブルの上に置かれて話が一端遮られた。