なにやってんの私【幸せになることが最高の復讐】
エレベーターを降りても更にダッシュした。
無用心にも鍵は開けっぱなしで少し扉が開いていた。
いくらホテル住まいだからって、セキュリティーそんないいとは思えないよ。
現に、隣の部屋にだって人の出入りあるんだからさ。
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「だからあんたも鈍いわね...」
ドアを押して中に体を半分滑り込ませたところで足を止めた。
部屋の中に女の人がいる。
しかも、この声.........
「あの子と別れてたらこんなことにはならなかったのよ」
「関係ないだろうあいつは! それにお前が首突っ込んでくるような話じゃないだろうが」
「大ありよ。私ね、今頃になってもっと好きになっちゃったんだから」
「なんだよそれ」
「大人になるとこんなに変わるなんてね。もっと早く気づけばよかった。私と一緒にやり直しましょうよ。会社だって元通りにしてあげるし、あの子がいるスタジオだってあのまま続けさせることができる。あんたあのスタジオ潰されるの嫌だってずっと言ってたじゃない」
そうか。そういうことなんだ。
全ては野々宮さんが糸を引いてたんだ。
外国からかけてきた電話は最終告知だったってわけた。
あそこで私が別れると言ってたら、萩原さんは自分の仕事を続けることができて、スタジオだってあのままで不安になることはなかったんだ。
店長だって余計な心配しなくていいし、スタッフだって今まで通りに仕事ができる。
深く考えるべきだったんだ。
野々宮さんは萩原さんの仕事を無くすくらいなんの躊躇もなくできる人で、そしてそれを自由自在に操れるんだ。